びっくり

徳田 暖

 

Iさんはヘルパーが二人付いて出かけます。活動としてはプールが多く、いつも決まったプールに行きます。小プールで遊んだり、大プールで歩いたり、泳いだりします。着替えは一人のヘルパーが手伝い、もう一人はその間に着替え、Iさんの着替え終了とともに一緒に行動できるようにしています。プールから上がる前に、玄関の自販機でアイスを買い、食べてから帰ります。また活動中、Iさんはイライラすると、ヘルパーに抱きつき、納得すると離れるという行動があります。

その日もいつものようにプールで過ごし、着替えをしました。私が先に着替え、もう一人のヘルパーがIさんの着替えを手伝いました。着替え終わり、Iさんと私が一緒に更衣室を出て、もう一人のヘルパーは着替え終了後合流することになりました。玄関の自販機に二人で行き、私が小銭の用意をしている時に、Iさんの後ろの扉が開きました。すると、その音に反応してIさんが勢いよく出てきた人に抱きつきました。Iさんはもう一人のヘルパーが出てきたと思い抱きついたのですが、全く別の女性でした。女性はもちろんびっくりされていましたが、本人もびっくりしてすぐに飛び退きました。私も突然のことでびっくりしましたが、すぐに謝罪し、もう一人のヘルパーだと思って抱きついてしまったと説明すると(Iさんは罰が悪そうに、ヘルパーの隣にいました)、女性は「びっくりした~」「そうなんや~」「いいよ~いいよ~」と言って、にこやかに外に出て行かれました。

 いつも行っているプールで、女性の方も顔を何度も見たことがある方なので、Iさんのことをある程度理解してくれていたのだと思います。突然抱きつかれ、相当驚かれたでしょうが、こちらの言葉を聞き、にこやかに返事をしていただけたことが、とても嬉しかったです。