津田 康則
Tさんの新しい外出先として、「山代温泉に行って、コンビニで買い物をし、足湯に入り、帰り道に食事をして家に帰る」というコースを試してみることになりました。Tさんこだわりがかなり強いこともあって、食事は慣れたところがいいだろうと、これまでときどき利用するうどん屋さんに決めました。
ちょうど12時ごろに店につきました。店に入ると混んでいて、いつもTさんが座る一番奥の場所は、すでに他のお客さんが座っており、今、まさに今うどんを食べている最中でした。Tさんは構わずその場所に行こうとします。私が止めようとすると、大きな声を出して押しのけようとします。周りのお客さんが思わず、こっちに注目しました。
それを見ていたおかみさんは、お客さんに席を詰めるように促し、入り口付近に2つ席を空けてくれました。私はTさんにその席に座るように促しましたが、納得せず、私の制止も聞かず、奥の席に行こうとしました。すると、おかみさんは席に座っていた方に、入り口にの席に移動してくれるように声をかけてくれました。それで、Tさんは落ち着いてきつねうどんを食べました。
帰り際、おかみさんはTさんに「またおいで」と声をかけてくれました。
支援が終え、帰りにお店に寄りました。わたしはおかみさんに礼を言い、「混んでいる時間を避けるよう、ご家族と活動時間を検討してみます」と伝えると、「気にしなくて大丈夫。いつでもおいで」とおっしゃってくださいました。
行動を止めることばかりに必死になっていた私に対して、おかみさんはTさんの様子を見ながら、Tさんの気持ちに寄り添って動いてくれました。おかみさんの「いつでもおいで」という言葉に胸が熱くなりました。