松田 昇
今年の4月から私の住む町内に、精神障がい者の自立訓練施設が、あるNPO法人の運営でオープンした。自立訓練施設とは、障害福祉サービス事業所のうちの一つで、就労移行や就労継続といったいわゆる「仕事」をする通所の作業所ではなく、「生活」の仕方を学ぶ通所の事業所である。調べてみると、このカテゴリーの事業所は石川県内に数か所しかない。
実はこの事業所の開設は今年2月の予定で、立ち上げた方々は昨年から準備してこられた。ところが地域への説明がないということで、昨年12月に説明会が開催された。10年前あんとふるを立ち上げた時のことを思い起こし、起業する人への応援の気持ちで参加した。
約30人ほどの出席者があり、2時間近くの会となった。「利用者が勝手に外に出歩くことはないのか」「近くに小学校があるが、子どもたちに危害を及ぼすようなことはないのか」「利用者が暴れたり危険な行動を取ったときのマニュアルはあるのか」など、そのほとんどが障がい者を知らないことからくる不安の声だった。「家族に障がい者施設に勤めているものがいるが、近所の家に入ったりすることがあると聞いている。だから反対だ」という意見もあった。
針のむしろに座らされた法人の役員さんたちは「利用者は原則、外に出ることはない」と言わされてしまった。
2回目の説明会が1月末にあって、もう意見や質問は出つくしたの感があり司会をしていた町会長が「もしこの間の説明から逸脱するようなことがあったら申し入れます」と締めて終わった。「容認」ということになったが、私には地域の目が「監視」であることが悲しかった。これを「見守るまなざし」に変えなければと思った。
そういう経緯があり2月開所予定が4月になり、今は3名の利用者さんが通っておられる。先日庭のバラの花を何本か切って訪ねた。お返しに利用者さんといっしょに焼いたクッキーを持ってきてくれた。