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10周年を迎えて

宮野 由美

2024年8月1日であんとふるは10周年を迎えました。

月日が経つのは早いですね。がむしゃらに突っ走って来たので、あっという間の10年だったと感じています。開所当時の思いは変わりませんが、身体的には日々機敏に動けないこともあり、やはり時間の流れを感じます。

10年前に松田さんとあんとふるを立ち上げ開所式を開いた時には、たくさんの人が来てくださったのを思い出します。とても嬉しかったです。やりたかった支援が出来るという喜びと、皆さんの期待に応えないと、と思う緊張が入り混じったスタートでした。

 

私自身のことになりますが、私には知的な障がいがある息子がいます。地域社会の中で、当たり前に堂々と生活して欲しいという思いで暮らしてきました。というより、そのように暮していくのが普通だと今でも思っています。しかし社会はそんなに甘くありません。障がいがあるというだけで分けられたり、差別を受けることがありました。

その時の悔しい経験が今の私の原動力です。障がい者と社会の間に立って、障がい者のあたりまえの生活を守りたい。その目的のために日々走り回っています。

なので、この支援のお仕事は私自身の生きがいとなっています。

日々利用者さんが楽しそうにお出かけされている姿を見れることは、本当にうれしいです。

 

いっしょにお出かけをすることによって気づいたことがあります。

車いすの方にとっては、段差が大きな障害です。町の中では階段があって入れないお店がたくさんあります。スロープがあれば入れるのにとあきらめてしまうことが多いです。数名の方に車いすを持ち上げてもらえば入れますが、手伝ってくださる方はなかなかいません。電動車椅子は重量があるので持ち上げるのは無理です。

スロープは当たり前に必要な設備だと実感しています。今では「スロープは無いのですか?」とお店の方にお話しするようにしています。今まで一度だけスロープを付けてくれたお店がありました。嬉しかったです。スロープは大切な移動手段であることを、多くの方に知ってもらいたいです。

知的な障がいのある利用者さんと、同じお店に行くことがよくあります。お互い段々と慣れてきて、利用者さんとお店の方が直接お話しされるようになります。あたりまえのことですが、その繰り返す出会いはとても大事なことで、お互いを知る時間だと思います。日々の出会いを大切にしたいと思っています。

 

もう一つ大切なことがあります。10年間続けてこられたのは、スタッフの皆さんのおかげだと思っています。日々たくさんのお仕事をお願いしても一生懸命動いてくださり、本当に感謝、感謝です。これからもよろしくお願いいたします。

 

4年前にコロナウイルスが流行り初めました。何度も進化し続けてまだ今でも流行っています。一時は外出が出来なくなりとてもつらい時期がありました。ここ2年ほどは感染者が少なくなったものの、治まる状況ではありません。私はすでに2回かかりました。マスクが離せない日々に疲れを感じますが、これからも気を付けながら楽しくお出かけをしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。